メイ首相を巡る保守党内の動き

ボリス・ジョンソン外相とジェイコブ・リース=モグ下院議員がテリーザ・メイ首相(保守党党首)を倒すことにつながる動きを示しだした。メイ首相への保守党内の不満は、これからますます高まる気配だ。

ジョンソンが、イギリスがEUを離脱した後、EUに支払う必要がなくなるお金から国民保健サービス(NHS)に1週間1億ポンド(155億円)支払うべきだと閣議で要求すると報じられ、大きな物議をかもした。

これは、2017年のEU国民投票のキャンペーンで、離脱派のリーダーとして、EUから離脱すれば、NHSに週に3億5千万ポンド(540億円)回せると訴えたことが背景にある。予算がほとんど増加しない中、需要の増加で苦しんでいるNHSに理解を示す姿勢を打ち出し、メイを直接攻撃せず、自分の存在感を出す目的があったのだろう。

当の閣議では、ジョンソンはメイから叱責され、さらに他の閣僚らから、閣議で話し合うことは他で話すべきではないとクギをさされた。しかし、ジョンソンの目的は達成されたように思われる。

一方、EU離脱強硬派のリース=モグは、メイ政府のEUとの交渉姿勢は臆病で、EU離脱に伴う打撃をなるべく少なくしようとしているようだとコメントした。メイを支持すると言うが、ブックメーカーが、メイの後継の最有力候補としているリース=モグがこのような発言をすることは、党内の空気を反映しているといえる。

メイは保守党内を掌握しているとはとても言えない。EUとの交渉は3月から本格的に始まるが、それまででもメイ政権への危機が起きる可能性はある。