スコットランドは親EU?

6月23日に行われた国民投票で、イギリスは52%対48%で欧州連合(EU)離脱を選択。しかし、スコットランドでは62%が残留を選択した。スコットランドの最大政党で、その分権政府を担当するスコットランド国民党(SNP)は党を挙げて残留のキャンペーンを行った。国民投票の前、もしスコットランドが残留を選択したにもかかわらず、イギリス全体が離脱を選択した場合には第2の独立住民投票を行う権利があると示唆したほどである。第1の独立住民投票は2014年9月に行われ、55%対45%で独立反対が上回った。

SNPは、親EUの立場を取っているが、常にそうだったわけではない。1975年に行われたEC(欧州共同体、EUの前身)国民投票では離脱派だった。当時、スコットランドの漁業と農業を守ろうとしたことがその背景にあり、イギリスから離れても、その代わりに主権をECに与えるようなことはしたくないと考えたことがある。

EC加盟後、共通漁業政策でスコットランドの漁業は衰退し、SNPのEUとの関係に関する立場は1980年代に変化するが、現在のSNPの親EUの立場は、SNPの戦略的なものだとする見方もある。すなわち、EUとの関係を梃子にスコットランドとイギリスの立場の差を明確にし、イギリスからの独立を推進する材料とする戦略が背景にあるとする考え方だ。

ただし、反イングランド感情も無視できない。スコットランドでの人種差別事件の4分の1は、イギリス人白人に対するもので、その大半がイングランド人に対するものであると思われる。すなわち、歴史的ないきさつからイングランドから分離したいというスコットランド人がかなりいる。その一方、人口540万人のスコットランドが独立した場合、国際的に十分なバックアップを受けられるかどうか心配する住民に対し、SNPが、EUの枠内に留まり、EUから援助を受けられるとして安心させる目的もあるだろう。

政党の立場は、時代に応じて変わりうる。SNPは、イギリスからの独立を謳って設立された政党だが、その方針を変えないまでも、その時々の状況を見計らい、その政治的勢力を維持・拡大していくために巧みな運営が必要とされると言える。

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