スコットランドの政治状況

2016年5月5日木曜日に行われるスコットランド議会議員選挙まで、あと9か月となった。この選挙は、通常4年毎に行われることになっている。前回は5年前の2011年に行われたが、2010年の総選挙後発足したキャメロン連立政権が、政権の安定を求め、5年の任期固定議会とすることとしたため(2011年議会任期固定法)、2015年5月にはイギリス全体の下院の選挙とスコットランドらの議会議員選挙が重なることとなった。異なった選挙制度(下記参照)の選挙を同じ日に実施するのは、不適当という判断から、スコットランドらの議会議員選挙が2016年に行われることとなったのである。

さて、来年のスコットランド議会議員選挙では、有権者の年齢が18歳以上から16歳以上に下げられる。2014年9月に行われたスコットランド独立住民投票(独立反対が賛成を上回った)で、独立賛成派の、スコットランド分権政権を担当するスコットランド国民党(SNP)が、有権者の年齢の引き下げを強く主張し、キャメロンが、それを認めた。年齢の引き下げは成功したと見られ、スコットランド議会が、超党派で有権者の年齢を下げることとなったのである。

この選挙では、SNPが、下記の世論調査で示されているように、その勢力を増大する勢いである。SNPは、650議席の争われた5月の総選挙で、スコットランドの59の下院議席のうち、56議席を獲得した

世論調査

SNP 労働党 保守党 自民党 緑の党
Survation世論調査(7月3日~7日) 選挙区 56 20 14 7 候補者なし
地区比例 45 19 12 8 11
TNS世論調査(6月19日~7月8日) 選挙区 60 20 14 5 候補者なし
地区比例 51 21 13 5 7
TNS世論調査(5月13日~31日) 選挙区 60 19 15 3 候補者なし
地区比例 50 19 14 5 10
2011年選挙実績 選挙区 45 32 14 8 候補者なし
地区比例 44 26 12 5 4

なお、緑の党は、選挙区では候補者を立てず、比例のみで争う。前回の2011年には2議席を比例で獲得した(下記獲得議席数参照)が、次回はその議席を伸ばす勢いである。保守党と自民党は前回とあまり変わらないが、総選挙で、前回の41議席からわずか1議席と惨敗した労働党は、スコットランド議会でも議席をかなり失う情勢である。

以上の世論調査の出所は以下のとおり。
TNS世論調査(5月13日~31日)
TNS世論調査(6月19日~31日)
Survation世論調査(7月3日~7日)

2011年スコットランド議会選挙結果(獲得議席数)

SNP 労働党 保守党 自民党 緑の党 無所属
選挙区 53 15 3 2 0 1
地区比例 16 22 12 3 2 0
合計 69 37 15 5 2 1

SNPは、2007年に最多議席を獲得し、少数政権についたが、2011年には、全129議席の過半数を獲得した。上記世論調査では、SNPが再び過半数を獲得する勢いである。

スコットランド議会の選挙制度

イギリスの総選挙、すなわち下院議員選挙は、完全小選挙区制で、それぞれの選挙区で最多の得票をした1人だけが当選する。SNPはスコットランドでの得票率50%で、59議席中56議席を獲得した。

一方、スコットランド議会議員選挙は、小選挙区比例代表併用制である。日本の衆議院選挙の小選挙区比例代表並立制が、小選挙区と比例区で別々に当選者が決まるのに対し、スコットランドの制度は、8つの地区ごとの比例代表に投じられた政党の票の割合によって、基本的に議員数が決まる。つまり、小選挙区で多くの議席を獲得すれば、地区ごとの比例代表で当選する人の数は制限される。この制度は、一つの政党が過半数を占めることを極めて困難にした制度である。

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