イギリス政界にスター誕生

4月2日夜に行われた、7党の「テレビ討論」。首相候補の、保守党のキャメロンと労働党のミリバンドを含め、7党の党首同士が顔を突き合わせて討論した。770万人が視たと言われる、出席者は、上記の2人を含め、自民党のクレッグ副首相、ファラージュUKIP党首、それに緑の党、ウェールズのプライド・カムリ、そしてスコットランド国民党SNPからだった。

7党もの党首が討論するのは、日本の総選挙前の党首討論に似て、盛り上がりに欠けるのではないかと予想していたが、かなり白熱した討論となった。その理由は、課題が限定されていたことと、それぞれの参加者が、自分たちの党の有権者へのメッセージをきちんと練り、十分な準備をしていたことがあるように思われる。

注目された、首相候補のキャメロン首相とミリバンド党首は、引き分けに終わった。キャメロンは、低調なスタートだったが、後半、いかにも首相らしい「顔」をし、首相らしい話し方をした。一方、ミリバンドは、有権者へのメッセージの点では、優れていたが、「首相らしい」マナーや「顔」に欠け、未だに学生のようだった。そのため、決め手に欠けた。

UKIPのファラージュ党首は、他の6党とは一線を画して、移民とEUの問題に焦点を絞り、その話しぶりは巧みで、UKIPへの支持を伸ばしたように思える。保守党はUKIPにさらに支持を奪われる可能性があろう。

一方、SNPの二コラ・スタージョンの政治勘には、驚くべきものがあった。スタージョンは小柄な女性である。7党首のうち3人は女性だったが、最も小さかった。それでも発言は、落ち着き、的を得ていた。スコットランドでは、SNPが多くの議席を獲得するのは間違いない情勢で、スタージョンには、この討論で心配することはほとんどなく、リラックスしていたことがあろう。

それでも、他の人の発言中に「ナンセンス(Rubbish)」との言葉を差し挟んだ、そのタイミングと声のトーンには、ハッと思わせるものがあった。恐らく、この女性の政治的な能力は、ウェストミンスターの主要政党、保守党、労働党、自民党の党首よりも優れているだろう。

その時点まで忘れていたのは、スタージョンは、昨年11月から、既に半年近く、スコットランドの首席大臣であることである。つまり、スコットランドのトップ政治家で、かなりの経験がある。この女性を、デイリーメール紙が、「イギリスで最も危険な女性」と第一面で攻撃した。

それだけの注目を浴びているからである。スコットランドの政治家で、ウェストミンスターの政治家ではないが、今後、ウェストミンスターが無視できない存在となった。7党首の討論で、イギリスの政界にスターが誕生したといえる。

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