女性であっても「男らしい」ということがある

緑の党の女性党首ナタリー・ベネットが、党の総選挙キャンペーンをスタートした日の2月24日、朝のラジオ番組に出演し、聞かれたことに答えられなかった。緑の党は、その選挙公約で、公共住宅を50万軒建設するとしているが、その財源を説明できなかったばかりか、他の質問にもきちんと返事ができなかったのである。

緑の党は、党員が急増しており、世論調査でも、自民党と並ぶ支持を得ており、大きな注目を浴びている。その日の選挙キャンペーンのスタートの記者会見で、記者たちの関心は、党首のラジオ番組での返答ぶりだった。

その記者会見の司会を務めたのは、大ロンドン市議会議員で、緑の党のベテラン、ジェニー・ジョーンズである。そのジョーンズが、記者たちにベネットに関する質問を受け付けない態度に出た。ジョーンズは、ケン・リビングストン前ロンドン市長時代に、副市長も務めた人物で、2012年のロンドン市長選前の候補者討論では、現職のボリス・ジョンソンに市長が務まるなら、私にもできると発言した、まさしく「女傑」である。今や、一代貴族の女男爵に任命され、上院議員(貴族院議員)も兼ねている。そのジョーンズが、その記者会見でダメと言えば、それで押し通すことができた。

ところが、この女傑の「助け」にもかかわらず、ベネットは、この質問に真っ向から答えた。ジョーンズの配慮に感謝しながらも、ラジオ番組出演中、頭が真っ白になり、答えられなかった、と自分の非を認めたのである。また、党員にも謝罪した。

これは、困難な問題を避けがちな政治家が多い現在、久しぶりに「男らしい」態度といえるような気がした。