保守党と労働党の財政政策

キャメロン首相がスピーチで語った。子供たちに大きな借金を残したいですか?我々には借金の問題を片付ける責任があります。収入の範囲内で生活するようもとに戻すべきですと。なお、日本の政府債務は、国内総生産(GDP)の240%だが、イギリスでは、その3分の1ほどである。

5月の総選挙に向けて、保守党は財政赤字対策が対労働党の主要なテーマと見定めている。保守党と労働党の差は以下のようなものだ。 

  方法 内容 期限
保守党 財政削減で赤字を解消 歳出総額の赤字 2018年度まで
労働党 財政削減と増税で赤字を解消 投資は別 2020年まで

労働党はイギリスが金融危機で経済が大きく下降した時に政権を担当していた。そのため、保守党は現在の大きな政府債務をもたらしたのは労働党であり、次期総選挙で、財政運営能力がなく、課税し使う労働党が政権を担当すれば、それは破滅的だという。保守党に任せれば安全できちんと財政赤字を減らし、政府債務を減らし始めることができると主張する。

保守党は、付加価値税(VAT)を含めて増税はしないとし、逆に減税を行うという。財政削減、福祉手当削減、そして税回避策への対策強化で、投資を含めた歳出総額の赤字を無くす方針だ。

労働党は、保守党の言うような財政削減が行われれば、それは1930年代の財政と同じレベルとなると主張する。これは、保守党のイデオロギーに基づくもので、必要以上のものだと批判している。キャメロン政権は、財政赤字を急激に減らそうとしたために、賃金と生活水準の下降を招き、経済成長を阻害した、賃金と生活水準が上がれば、より大きな経済成長を達成し、財政赤字削減が進んだはずだ、と主張する。

労働党も財政削減に取り組むが、保守党とは異なり、投資は別とする。増税策としては、200万ポンド(36千万円:£1=180円)以上の住宅への豪邸税、15万ポンド(2700万円)以上の所得への税額50%復活、そして銀行ボーナスへの増税などを考えている。

保守党は、総選挙への公約に、この財政赤字削減策を中心に据えているが、労働党は国民健康サービス(NHS)を中心に据えている。保守党はNHSへの支出は毎年増やすと約束しているが、労働党は、保守党ではNHSを有効に運営していくことはできないという。労働党は、保守党より多くの予算を約束している。いずれにもそれなりの理屈があるが、国民は、経済財政運営ではキャメロン保守党がミリバンド労働党よりも優れていると見ている。

保守党と労働党の議論には、五十歩百歩の面があるが、イギリスでは、権威ある独立シンクタンク、財政研究所(IFS)が厳しい目でこれらの議論を評価、批判している。このような中立的な評価者がいれば議論はかなりわかりやすくなると言える。

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