イギリス政府のチーフ・エグゼクティブ

政府が新しくチーフ・エグゼクティブのポストを設けた。これは、公務員トップの内国公務の長(Head of the (Home) Civil Service)が退任するのに伴って新しく設けられたポストである。この事情については拙稿を参照。

このポストは事務次官級である。公務員改革を推進し、政府をよりビジネスライクにすることを目的としている。公募され、年俸は19万ポンド(3300万円)、大きな企業を運営したことのある人物を求めた。ヘッドハンターの努力にもかかわらず、声をかけられた人たちが断っているという話が伝わっていたが、結局、応募者はわずか13人だけであまり魅力のあるポストとは見られなかったようだ。なお、このポストに公務員以外からどの程度応募したのかについては内閣府が回答を拒否している。 

応募者を惹きつけられなかった一つの理由は、このポストの上司が、公務員トップの内閣官房長(Cabinet Secretary)兼内国公務の長、内閣府公務員担当大臣、それに財務副大臣と3人もおり、しかも他の事務次官たちの上ではないため、どの程度、能力を発揮し、影響力を揮えるかはっきりしないと見られたことがある。

このポストに選ばれたのは、ジョン・マンゾーニ(54歳)という人物で、20142月から内閣府で政府全体の主要プロジェクトを監視するMPAMajor Project Authority)のチーフ・エグゼクティブを務めている人物である。1983年から24年間石油メージャーのBPに勤務し、BPのナンバー2まで登りつめたが、トップになれず、2007年からカナダのエネルギー会社のタリスマン・エネルギーのCEOを務めた人物である。なお、マンゾーニは、BP時代の2006年には、株式も含め、140万ポンド(2億4400万円)の年俸だったという。 

マンゾーニには、他の事務次官たちから評価が高いという報道もあるが、単にプロジェクトを監視する仕事とは異なり、公務員改革を進めるためには事務次官を始め、公務員を動かす必要がある。手続きの公正さが重要な政府の仕事と、結果が重要な民間企業の仕事のやり方には大きな違いがある。その責任関係と影響力が明確ではないとされるポストについたマンゾーニがその壁をどの程度乗り越えられるかが大きな課題と言えそうだ。

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