誰がスコットランド独立に反対したのか?

スコットランドの独立に関する住民投票の結果、独立賛成45%、反対55%で、スコットランド住民が、はっきりと独立反対の意思を示した。投票率は85%と極めて高く、これまで投票したことがなかった人が、独立賛成側もしくは反対側の家族や知人から迫られて投票に行くということもあったようだ。

それでは、どのような人たちが独立に賛成、もしくは反対という立場を取ったのだろうか?元保守党副幹事長のアッシュクロフト卿が、投票箱が閉まった後、独自の世論調査を行ったので、その結果をもとに概観しておきたい。なお、億万長者のアッシュクロフト卿は世論調査を頻繁に行っており、その結果は、世論調査業界並びにイギリスの政界で注目されている。 

この世論調査では、2千人余の調査結果からのものである。ここでは特に年代別の投票結果を見てみる。

(一番上の数字は年齢別、二番目、三番目の列の数字は%)

特に65歳以上の人たちの4分の3近くが独立反対である。独立賛成側は、この層と55-64歳の層の支持を集められなかったことが敗北につながった。一方、25-34歳の年代層では、賛成が6割いる。さらにこのスコットランド住民投票で特別に認められた16歳と17歳は7割が賛成しており、独立賛成側の狙い通りの効果があったようだ。 

なお、反対票を投じた人の57%が、スコットランド独立後の通貨の問題を心配したという。つまり、年金の問題も含め、独立後の経済・財政面での不安を嫌った結果といえる。世論調査大手のYouGov社長ピーター・ケルナーが、アメリカ大統領選で勝利したクリントン陣営の「問題なのは経済だ」という言葉を引用して、今回の住民投票の結果を予測していたが、その通りになった。