ケーブル・ビジネス相の指摘した点:日本も考えるべき(Vince Cable’s Views on Industry Policy)

ビジネス相のヴィンス・ケーブルがキャメロン首相とクレッグ副首相あてに書いた、英国の産業政策に関する手紙がリークされた。ケーブルは、クレッグと同じく自民党から連立政権に入っている下院議員である。ケーブルは、経済学で博士号を持ち、かつては大手石油会社のロイヤル・ダッチ・シェルのチーフエコノミストであった人物である。

この手紙では、政府が銀行の信用危機で救済し、その82%の株式を持つロイヤルバンク・オブ・スコットランドを分割し、産業目的銀行を作るなどの提案が英国では注目されているが、むしろそれよりももっと根本的な、注目すべき指摘が入っていると思われるので、その点だけに触れておきたい。それらは以下の点だ。

 政府は、財政削減に力を入れ過ぎており、将来の方向性への思慮が足りない。
 国の経済成長をどの分野が担っていくか政府は未だに見定めることができずにいる。
 政府は、危機に対応しているだけであり、また、市場がどう反応するか見ているだけで、プロアクティブに対応していない。
 長期的な産業の力を作り出すには、市場の力だけでは不十分だ。

これらの指摘は、英国の問題だけに限らず、日本にも当てはまるように思われる。