労働組合のストライキの制限を計画する保守党

710日、全国で公共セクターの組合による大規模なストライキが行われた。賃金の問題が中心で、国家公務員、地方公務員や教員、消防士などが加わった。組合側は参加者は100万人を超えたというが、政府はその半分以下だという。いずれにしてもかなりの規模のストライキであった。

キャメロン首相は、このストライキを批判し、来年2015年に予定されている総選挙のマニフェストで、ストライキ投票に最低投票率を設けることを約束すると発表した。

現在の制度では、投票率が低くても賛成多数でストライキを実施できる。特に今回の教員組合(NUT)のストライキは、2012年に行われた投票に基づいており、その際の投票率は27%であった。つまり、かなり前に実施され、わずか4分の1の組合員しか投票しなかったものに今も縛られているのはおかしいという主張である。

なお、保守党にはこの制限を投票率50%にすべきだという意見がある。

このストライキでは、政府が公共セクターで働く人たちの給与を抑制していることが争点だった。2010年にキャメロン政権が誕生し、賃金を凍結した。2012年に年1%アップまでとしたが、この間、物価はそれよりかなり上がっており、生活費が高騰しているのに賃金が実質大きく目減りしていることに対する不満であった。

このストライキで、一般の国民にはある程度の不便があったようだが、大きな混乱を招くに至らなかった。保守党は、むしろこのストライキを労働党攻撃の材料に使った。国民の不便を顧みず、自分たちのことだけを考えて行動している労働組合に、労働党が支えられているという批判である。 

なお、イギリスには4つの地域がある。イングランド、スコットランド、ウェールズそして北アイルランドである。労働組合活動もこれらの地域で異なる。例えば、公務員が中心のPCSはこの4つの地域全体で参加したが、労働組合大手のUniteUnisonGMBは今回のストライキに参加したのはスコットランドを除く地域であり、FBUNUTはイングランドとウェールズだけであった。