デイリーメイル読者とミリバンド記事(Daily Mail Readers’ View on Miliband Article)

デイリーメイル紙が労働党のエド・ミリバンド党首の亡父を「英国を嫌悪した男」と決めつけた件で、右派のタブロイド新聞デイリーメイルの読者でさえそのような言葉を使うことは許されないと考えていることがわかった。

デイリーメイルは保守党支持で、英国第二の売り上げ部数を誇り、インターネット版では英語版で世界最大の読者数を持つといわれる。

その記事は、マルクス主義の学者であった亡父を攻撃することで、左傾化していると思われたミリバンドの危険性を浮き彫りにする狙いがあった。しかし、父への攻撃に怒ったミリバンドはそれに強く抗議している。

ミリバンドの父は、ナチスドイツの迫害でベルギーから英国に逃れてきたユダヤ人難民で、第二次世界大戦中に英国海軍で戦った人物であった。

この問題をめぐる世論調査では、ミリバンドの父を「英国を嫌悪した男」と呼んだことを許されるという人は17%にとどまり、許されないと言う人は72%にも上っている。また、78%の人はミリバンドがデイリーメイルに苦情を申し入れたのは正しかったという。

特に、保守的な見解に共感する傾向が強いと思われるメイルの読者も60%がそのような言葉を使うことは許されないと言っている。

デイリーメイルの記事は、ミリバンドの勢いを削ぐどころか、むしろその勢いを増進した効果があったようだ。しかも、その読者の見方を考えると、今後ミリバンドを攻撃する際にその親族に触れることはかなり難しくなったと言える。

ただし、デイリーメイルにとって最大の問題は、1年の契約延長がなされたばかりといわれる編集長ではないだろうか。これまでカリスマ的なリーダーシップを揮ってきた編集長に大きな疑問が出てきた。今回のミリバンドとの論争を乗り切ったとしても、一度ぐらついた信頼を取り戻すのはそう簡単ではない。

恐らくその最大の受益者は、デイリーメイルにこれまで叩かれ続けてきたミリバンドのように思われる。