英国の全国最低賃金法制化15周年(Minimum Wage 15th Anniversary)

英国ではかつて一部の産業に最低賃金を定めたことがあるが、メージャー保守党政権下で廃止された後、労働党政権が1998年に全国最低賃金法を定めた。

現在、英国では最低賃金は時間当たり£6.19(929円:£1=¥150)である。この最低賃金を受けている人は110万人いる。最低賃金は給与の中央値などから決められるが、賃上げ率が低くなっている現在、物価上昇率がそれを上回っているため、2017年には、2004年より実質低くなるとみられている。

一方、生活賃金(Living Wage)という考え方があり、これは、ある程度の生活水準を確保するために必要な最低の時間給である。これは、£7.45(1118円)とされている(なお、ロンドンでは£8.55(1283円))。

最低賃金と生活賃金の間には360万人おり、最低賃金受給者と合わせて、労働者の5人に1人が生活賃金以下の時間給で働いている。あるシンクタンク(Resolution Foundation)の試算によれば、もし誰もが生活賃金を受ければ、政府の歳入が増え、また社会保障給付金が減るため、年に22億ポンド(3300億円)が倹約できるという(http://www.resolutionfoundation.org/publications/fifteen-years-later-future-uk-nmw/)。

労働党のミリバンド党首は、生活賃金の考え方を持っているが、大幅な賃金上昇は雇用を抑制する可能性があり、どのような対応をするか注目される。