サッチャーの気配り(Caring Thatcher)

1979年から1990年まで英国の首相をつとめたマーガレット・サッチャーは、しばしば「鉄の女」と呼ばれ、タフであったことで有名だ。最近明らかになったフォークランド紛争当時の文書で、サッチャーの側近が、フォークランド諸島に侵略したアルゼンチン相手に戦争に踏み切るのに反対したが、戦争に踏み切ったことがわかった。そして勝利を得た。睡眠時間4時間で多くの仕事をさばき、大臣たちよりも政策に詳しかったと言われる。

そのサッチャーの気配りはこれまでにもJohn CampbellのMargaret Thatcher Volume Two: The Iron Lady (London: Jonathan Cape 2003)などで触れられている。最近出版された、ジリアン・シェパードのThe Real Iron Lady (Bitback Publishing, 2013)でも、気配りに触れている。

サッチャーのスペシャル・アドバイザーであったElizabeth Cottrellによると、スピーチの準備で午前3時になった時、「英国の首相が自分のために風呂を入れてくれ、ナイトドレスと歯ブラシを持ってきて、ベッドが冷たいといけないからと湯たんぽも入れてくれた・・・翌朝7時には紅茶を持ってきてくれた」という。

双子の子供を持つ母親、そして女性としての気配りが、タフな「鉄の女」の背後にあったことがわかる。