英国で進められる原子力発電所建設(More Nuclear Power Stations in UK)

茨城県東海村の日本原子力研究開発機構の実験施設内で放射線物質が漏れた事故もあったが、日本では原子力発電所への忌避感は強い。一方、英国では、原子力発電所の建設が益々進められようとしている。

英国の連立政権を組む保守党と自民党は、2010年総選挙のマニフェストでは原子力発電に対する立場が全く異なっていた。自民党は原子力発電所建設に反対していたが、保守党は古い原子力発電所を新しいものに建て換える方針を示していた。連立政権の合意書で、自民党は国が補助金を出さなければ認めることとしたが、今ではその立場も変更し、原子力発電所建設を推進する立場となっている。

2020年までにEUの20%のエネルギーを再生可能エネルギーとする目標があるが、オズボーン財相は、天然ガスを活用すべきだとしてこれからの10年で20余りのガス火力発電所を建設する考えがあると伝えられる。

それに対し、自民党の下院議員であるデイビー・エネルギー気候変動相は、2015年に世界的な合意ができた場合には、2030年までに炭素排出量を1990年比で、50%まで減少させる政策を打ち出す。1990年には英国の二酸化炭素排出量は7億7700万トンであったのが、2012年度には5億7200万トンとなった。この2030年の目標を達成するためにはさらに約2億トンを減少させる必要がある。この達成には、新しい原子力発電所と風力発電所の建設が必要であり、英国の原子力発電への依存度は現在18%であるが、これを2030年までに3分の1以上に増やす計画である。

このような状況の中で、昨年、日本の日立がホライゾン原子力発電所を買収した。その地に新しい原子力発電所を建設する予定である。

また、フランス電力によるヒンクリー・ポイントでの原子力発電所の建設許可が既に出されており、その建設が合意する見込みである。これまでフランス電力は建設費用が大幅に上昇し、140億ポンド(2兆1千億円)となったため、英国政府の電力の価格保証を求めて交渉していた。当初1ギガワット当たり150ポンドを求めていたが、その3分の2をやや下回る金額で合意される見通しである。また、中東や中国からの投資が期待されているという。

英国では、古い発電所を新しい発電所に建て替える時期であるが、新しい発電所の建設が遅れており、新旧交代のギャップのために電力が不足する可能性が心配されている。温暖化ガスの排出削減にも積極的に取り組んでいることから、原子力発電所への依存が増す形になっている。

アベノミクスの成長戦略は効果があるか?(PM Abe’s Growth Strategy)

アベノミクスの三本柱は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略である。この中では、特に金融緩和策がこれまで注目されてきたが、これにはこれまでも国内外から不安視する声があった。5月23日の株大幅下落でその不安感が増してきたと言える。

2番目の「機動的な財政政策」は、過去20年間で度重なる景気刺激策が効果を上げてこなかったことや、2020年度にプライマリーバランスの黒字化を目標としていることを考えると、どの程度効果があるのか疑問がある。

3番目の成長戦略では、これまで①女性活用②農業、産業の競争力強化③PFIを中心とした民主導のインフラ整備などが出てきているが、これらは今までのところスローガン的な目標設定に過ぎないように思われる。

英国でも、成長戦略に取り組んでいる。オズボーン財相は、なんとかして景気回復、そして経済成長を図ろうとしているが、これまで目立った成果は出ておらず、最近になってやっとその兆しが見えてきたという段階である。しかし、今年の経済成長には大きな期待はない。

英国の基本的な財政・経済政策は、金融政策(Funding for lendingという資金調達制度も設けた)を積極的に行い、中期的な財政削減策に取り組みながらインフラ投資をし、そして構造改革(教育、福祉、税制など)で不均衡な経済の是正を図ることである。

その成長戦略の目標は、以下のようである。G20で最も優位性のある税制とする、投資と輸出の促進、欧州でビジネスをする最良の場とする。そして欧州で最もフレキシブルな教育を受けた労働力をつくる。その方策としてインフラ向上、お役所仕事(レッドテープ)の減少、都市計画制度の徹底改革、貿易を増やし、対内投資を増やすことなどが含まれる。もう既に60%実施したというが、それでも目立った成果は出ていない。(https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/
attachment_data/file/200019/growth_implementation_update_mar2013.pdf)。

この5月にIMFがロンドンを訪れ、英国の財政、経済状況を精査し、その結果、中長期的な財政削減策を認めながらも、インフラ投資をさらに進めるように勧告した。指摘されたインフラの分野は、オズボーン財相もこれまで拡大しようとしてきた。

インフラ策は、2010年の連立発足当初から大きな課題で、当時、インフラストラクチュアUKという組織を財務省の中に立ち上げた。この組織は、各関係省庁の事務次官らをそろえ、錚々たる陣容で始まった(http://www.hm-treasury.gov.uk/infrastructure_about.htm)が、LSEのJohn Van Reenen教授は最近、この組織は「何をしたいかの項目をリストアップしたが、それをいかに実施するかの分析がない」と評した。(http://www.thesundaytimes.co.uk/sto/business/Economy/article1251773.ece

つまり、ほとんど成果が上がっていないとの批判だ。これは、4月末に発表された下院の公会計委員会の報告書でも裏付けられている。

今年1月から、昨年大成功を収めたロンドンオリンピック・パラリンピックの組織委員会のチーフエグゼクティブを務めたデイトン卿を財務省の担当大臣に据え、前に進めようとしているが、LSEの学者らは、それでは不十分だと見ている。

この例は、錚々たる組織を設けても、それが必ずしも結果を生むことにはならないということを示す例となっているように思われる。

安倍首相は、日本経済再生本部を設け、その下に経済財政諮問会議や産業競争力会議を設けたが、それらが本当に機能し、結果を出す、つまり経済成長を生むようにさせられるのだろうか?英国でもそうだが、組織を設けることと結果を出すこととは異なる。

IMFの勧告に対してオズボーン財相が答えたように長年累積してきた問題に簡単な解決策はない。(https://www.gov.uk/government/speeches/imf-article-iv-opening-remarks-by-the-chancellor-of-the-exchequer-rt-hon-george-osborne-mp

日本でも過去20年間の累積した問題を簡単に解決できると考えることは非現実的であろう。

安倍政権が、もしこのまま大きな成果が上げられないと、来年4月からの消費税値上げに踏み切れるのだろうか?格付会社のフィッチは、現在でも日本をネガティブとしているが、消費税を上げられないようだと日本のさらなる格下げをする構えがあるようだ。

安倍政権の成長戦略で本当に効果が出せるのか、政権の本質がこれから試されると言えそうだ。

安倍首相の正念場(PM Abe Faces a Hard Reality)

日経平均株価が一時10%も下がり、終値は7.3%減で落ちついたが、その原因は中国の製造業の減速とアメリカのバーナンキ連邦準備理事会議長の発言や理事会の議事録などから量的緩和を縮小するヒントがあったことによると言われる。欧州でも株価が下がっているが日本ほどではない。これは、日本では安倍政権の政策への期待がそれだけ大きかったことを示しているように思われる。

安倍政権の到来で、日本では金融緩和期待から経済の先行きに明るい見通しが広まり、また、円安を招き、それらが日本の株価をけん引していたが、その状況に一挙に陰りが出たようだ。

これは一時的なものだろうか?今後、これがなかったように安倍政権への期待が継続し、政権が運営できるかどうかが問われている。

安倍政権の誕生以来、強く感じられたのは、安倍政権のメディアマネジメントのうまさだ。政策にも連携した政権のアクションは、英国の政治メディアマネジメントにも似ており、もしかすると英国系のPR会社のアドバイスを受けているのではないかと感じられたほどだ。

ただし、メディアマネジメントで行えることには一定の限界がある。体裁を整えることができても、政治家、そして政権の本質を変えることは難しい。

現在の英国のキャメロン首相もメディアマネジメントを重視し、保守党が野党時代にアンディ・クールソンという人物を自分の給料の2倍以上支払って雇った。クールソンは、元ニューズ・オブ・ザ・ワールド編集長である。この新聞は英国の日曜紙最大の売り上げ数を誇っていたにもかかわらず、電話盗聴事件で廃刊となり、クールソンはその事件で起訴されている。この人物には、当初から疑問があったが、キャメロンは、自分の政権の広報局長として首相官邸入りさせ、なかなか手放そうとしなかった。クールソンは、自分は黒子の立場であるべきなのに、ニュースの焦点になったのでは仕事ができないと言って、逮捕されるかなり前に辞職した。

キャメロンは、ブレア労働党政権で広報戦略局長だったアラスター・キャンベルのような人物を求めていた。ブレアもキャンベルをなかなか手放そうとしなかった。キャンベルは、リーダーにビジョンがなくてもやっていけると言ったことがあるが、この発言は自分のブレアに仕えた経験からの話だと思われる。

確かにブレアが1994年に労働党の党首となった時には、労働党の近代化、つまり有権者が信頼して選挙で選ぶ政党にしたいと漠然とした方向性は持っていたものの、具体的に何をするかはっきりしていなかった。しかし、それ以降、ブレアは真剣に目的を追求し、国民に期待を与えて選挙に勝利し、そして政権に就いてから自分の取り組みたいのは公共サービスの向上だと信ずるに至った。そして3回の総選挙に勝ち、10年の長期政権を維持した。つまり、リーダーにビジョンや確信がなくても真剣に追求すれば、一定の成果が出せるといえるだろう。

この4月に亡くなったサッチャーはアイデアの人ではなかったが、自分の信ずる基本政策を首相となる前に用意していた。その1979年の保守党マニフェストを読むと、自立、税制、そして労働組合対策など、その意図がひしひしと伝わってくる。そしてサッチャーには、そういう基本政策を貫く強い意志があった。

キャメロンの基本的な政策、その最も重要なものは、政府の赤字・債務削減である。それに小さな政府を交えた基本的な考え方はある。保守党より左の自民党と連立政権を組んでいるために、政権の方針を必ずしも思うどおりに決められないという点があるものの、政権の基本的な方針というものはある。

しかし、ここにきて明らかになってきたのは、キャメロンのメディアマネジメントとスピン(情報操作)に頼った、状況に押されて変わる政権運営である。キャメロンはもともと政治家のスピンドクター(情報操作を担当する人)で、メディア関係の企業でも働いていた人物であり、もともと深く考える人ではないとされてきたが、その浅さが表面化してきた。キャメロンを信念の人と見る人は少ない。

つまり、メディアマネジメントは政権運営に大きな役割を果たすものの、首相には、基本的なビジョンと政策、そしてそれを貫こうとする意志、少なくともそれらを真剣に追求するといった資質が必要であるように思われる。

翻って、安倍首相はどうであろうか。安倍首相はどれだけの日本再生への基本構想を持ち、そしてそれをやり抜く信念があるのだろうか?

昨年末の総選挙で発表された自民党の「政権構想」を見るかぎり、その基本図は不確かである。安倍首相の第一次政権(2006-7年)から見ると、信念の面でも不確かだと言わざるを得ない。安倍政権には高い支持率があるが、キャメロンに見られるような浅さがもし現れるようなことがあれば、有権者からの評価は大きく変わるだろう。

こういう状況下で求められるのは、ブレアを補佐したキャンベルのような優れたアドバイザーと、首相自身が冷静に、そして真剣に自分のビジョンを再考し、または自ら作り出し、磨いていく努力のように思われる。

キャメロン首相の誤算(Cameron’s Miscalculation)

5月20日の下院での同性結婚法案をめぐる採決でキャメロン首相は大きな痛手を被った。

保守党の閣僚をはじめとする多くの保守党下院議員がこの法案を今国会(次期総選挙は2015年に予定されているが、それまでのことを指す)で成立させることを事実上不可能にする修正動議を提出したのである。労働党は独自の修正案を提出する構えを見せ、その動議が可決される可能性があった。最終的に労働党との妥協でその動議は否決されたが、この過程で、保守党の中の分裂とキャメロン首相の保守党内でのリーダーシップが弱まっていることが浮き彫りにされた。

キャメロン首相は、同性結婚法案を保守党が変わったということを有権者に印象付ける手段として利用しようとした。かつての傲慢で人々の関心に注意を払わない政党というイメージから、保守党は近代的な思いやりのある政党になったということを示す一つのシンボルとして使おうとしたのである。トニー・ブレアが労働党党首に就任した後、労働党の変わったことを多くの有権者そして党員にわからせるために労働党の綱領の中の産業国有化を謳った第4条を変更したが、そのような機会にしようとした。

確かにこの法案には自民党、それに労働党のほとんどが賛成するであろうことから、たとえ保守党内に反対があっても大丈夫だという計算があったと思われる。

自民党、労働党はこの法案の趣旨には賛成していたが、問題は、労働党はこの採決にキャメロンの弱みを見て、それを露呈させる戦術を取ったことにある。キャメロン首相は後に引けず、労働党の要求を呑み、その修正案を受け入れ、この法案を守るしか手段がなかったといえる。

その結果、5月21日の新聞はそろって「キャメロンの屈辱」を取り上げることとなった。読者数の最も多いサン紙は、キャメロン首相の「臆病なリーダーシップ、不用意な傲慢、自滅的な政治的直観」を批判し、ガーディアン紙は「見当違いの悪循環」と批判した。

キャメロン首相は、自分の権威を賭ける対象を誤ったようである。保守党の活動家の平均年齢は67歳(タイムズ紙のRachel Sylvester 5月21日)と言われるが、この年代の人々にはそれまでの価値観を変えて同性結婚を受け入れる人が少なく、下院議員にもその反対者が多い。しかも弱い立場に陥っているキャメロンを攻撃する材料として使った保守党下院議員もかなりの数に上るようだ。

同性結婚は、2010年の保守党のマニフェストにも入っておらず、しかも連立合意書にも入っていなかった。そのような政策を党内の反対を押し切って進めようとしたキャメロンに大きな誤算があったといえる。

袋小路に陥ったキャメロン首相(Cameron in a cul-de-sac)

EUに留まるか脱退するかの国民投票案をめぐり、保守党内が混乱している。保守党のジェレミー・ハント厚相は、保守党は一致団結していると主張したが、そう思っている有権者は、わずか10%しかいない(http://ukpollingreport.co.uk/blog/archives/7473)。

女王のスピーチにEU国民投票の法案が含まれていなかったことを遺憾に思うという5月15日の動議に賛成した保守党下院議員は116人にも上った(総勢305人)。キャメロン首相の率いる連立政権の公式な政策発表に異議を唱える動議は、自民党と労働党の大多数の反対で否決されたが、これほど多くの同調者が保守党の中から出たことは衝撃的であった。

そのため、キャメロン首相は、訪米中でありながら、急きょ保守党のEU国民投票法案を発表した。連立を組む自民党がそのような法案には賛成しないため、それを議員の法案として提出し、それを保守党として押すという形である。しかし、この議員提出法案が成立する見込みはない。これは、単に保守党内部の不満を抑え、有権者にキャメロン首相はEU国民投票に真剣だという姿勢を示すだけのものにしか過ぎない。

これには、保守党の欧州懐疑派は、対応が不十分だと見ており、しかも有権者からは、保守党が分裂しており、キャメロン首相がバタバタしているぐらいにしか受け止められていない。

悪いことに、キャメロン首相の側近が、保守党の地方組織や活動家たちが現在のような状況を招いていると批判したとされ、さらにそのような発言に活動家や下院議員たちが怒っているという報道も加わった。

こういう報道は、キャメロン首相にとっては大きな打撃だ。こういう象徴的な事件は、キャメロン首相のリーダーシップに大きな疑問を投げかけ、有権者の心に残るからである。

実際のところ、この首相側近の分析は、かなり当たっているように思われる。活動家たちは、かなり年配の人たちが中心で、昔からの価値観をなかなか捨てきれない人たちが多い(参照 http://kikugawa.co.uk/?p=427)。

そういう人たちが、英国独立党(UKIP)の脅威を最も肌身に感じている。保守党の活動家たちには欧州懐疑派が多く、そのため、その考え方に近い人たちでなければ党首になることは極めて困難だ。そのために2001年の保守党党首選では親欧州派のケネス・クラーク(前法相で現内閣府大臣)は党首になれず、ほとんど無名だったイアン・ダンカン・スミス(現労働年金相)が党員の決選投票でクラークを破り党首となった。

しかし、UKIPを支持する人たちの51%は、EUの問題をこの党に投票したい理由のトップ3つないしは4つに入れていない(http://ukpollingreport.co.uk/blog/archives/7473)。つまり、これらの保守党活動家が強く感じているEUの問題を取り上げてキャメロン首相を突き上げたところで、保守党への支持が増える保証はないといえる。

UKIP現象は、英国の現在の社会・政治状況を反映している。2009年の議員経費乱用問題などで、政治家への信頼が根底から揺るぎ、既存政党への信頼が現在の経済状況などと重なり、非常に低くなっていることが背景にある。

それでもUKIPが政党として躍進し、政権を握ることを期待している有権者は今のところ少ないと思われる。次期総選挙では今のところUKIPが議席を獲得することは難しい見通しだ。同党の財務担当が政策に力を入れなければならないとし、政策が乏しいことを認めたが、UKIPは政権を担えるような政党ではない。それでもUKIPの躍進は保守党の票を大きく奪い、保守党の獲得議席を大幅に減らす可能性が高い。

保守党の下院議員や活動家の中には、キャメロン首相の進める保守党近代化(これは保守党を「嫌な党」から脱皮させるための方策であるが)に反対している人も多い。この政策には同性結婚を認めることや、非常に厳しい財政削減を行っている最中にもかかわらず国際援助費を増額するなどが含まれているが、これらに反発する人たちも多い。特に同性結婚の問題は、伝統的な価値感に反するために保守党の中に強い反発がある。

同性結婚の問題が自分の投票行動に影響を与えるという人は上記の世論調査でわずか7%であり、しかもそのうち58%が同性婚に賛成する政党に投票するという。確かに、有権者は単一の政策で投票を決めるものではなく、どの政党がどの程度の能力がありそうか、党首はどうかなど党全体のイメージや印象で投票する傾向が強い。そのため、望むイメージを与える政策を追求することには意味があるが、今回のように党が分裂している印象を与え、しかもキャメロン首相のリーダーシップを傷つけるような事態の展開は大きな誤算だといえる。

欧州懐疑派の中には、連立を解消して保守党の少数与党で政権を運営する案も出てきている。そうなればキャメロン首相のリーダーシップへの疑問が増す可能性があり、しかも政権はますます不安定になる。もし万一今の状況で選挙となれば、支持率で労働党に差をつけられ、UKIPに大幅に票を奪われる見込みの保守党が勝てる可能性は非常に低い。

むしろ、保守党も自民党も2015年まで待って、現在の景気が上向いたところで、その上昇ムードと、財政経済政策の成功を訴えて選挙に臨みたいと考えている。また保守党がもし自民党と辛らつな「離婚」に終われば、これまで党のイメージを変えるために努力してきたことが無駄になる可能性もある。つまり、両党ともに現在「離婚」する考えはない。このような状況の中で、保守党は連立政権が分裂する事態も想定してその場合のシナリオも研究していると伝えられたが、自民党には今のところそのような動きはなく、このシナリオの話は、保守党の党内対策の感が強い。

BBCの政治部長であるニック・ロビンソンが現在の保守党の問題を端的に表現している(http://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-22517322)。

Many Tories loathe Brussels, hate Coalition, distrust their leader and are terrified of UKIP.

つまり、多くの保守党下院議員は、EUを嫌悪し、連立を組む自民党を嫌い、党首のキャメロン首相に不信を持っており、そしてUKIPに怯えているというのである。

UKIP現象は、単に英国のEUとの関係のみの問題ではなく、はるかに広範囲のものであり、キャメロン首相が短期的なその場しのぎの対応を続けても、これらの下院議員たちが満足する可能性は乏しい。結局のところ、キャメロン首相は、連立政権の中で制約を受け、保守党の不満分子の求めることを受け入れる余地はなくなっている。キャメロン首相は、袋小路に陥ってしまっているようだ。

スコットランド独立住民投票の行方(Scottish Independence Referendum)

スコットランドの、英国からの独立に関する住民投票が2014年9月18日に行われるが、最近の世論調査によると、スコットランドの独立に賛成する人の割合が減少している。

Ipsos Moriの世論調査(http://www.ipsos-mori.com/newsevents/ca/1389/Why-it-is-hard-to-see-much-hope-for-Salmond-and-his-political-dream.aspx)では、現時点でどう投票するか決めている人のうち、3分の2が独立に反対している。

確実に投票するという人が減っている中、反対する人と賛成する人の差が大きく、しかもその差が次第に大きくなっている状態では、これを覆すことは極めて困難になってきている。

この住民投票では16歳から投票ができる。これは、スコットランドの政権を預かるスコットランド国民党(SNP)の戦略の一環で、ウェストミンスターのキャメロン政権が認めた。上記の世論調査で見ると、確かに18歳から24歳の若者の半分がスコットランドの独立を支持しているが、この層は投票率が低い。一方、55歳以上の人で独立に賛成する人は、27%に過ぎない。

英国では55歳以上の人はグレイ・ボート(Grey Votes)と呼ばれるが、この年代の人は、若者世代より人口で2倍多く、しかも投票に行く割合は2倍あり、その結果、この年代の支持・不支持は若者層より、4倍の効果があるといわれる。

もしスコットランドが英国から独立すれば、公的ならびに民間の年金にかなり深刻な問題があることが4月に表面化した(http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-scotland-politics-22296547)ことを考え合わせると、スコットランドの独立に関するスコットランド住民の投票では、SNPの望む結果が出る可能性は極めて少ないといえる。

もし英国がEUを離脱すれば?(What If UK Leaves EU)

保守党の下院議員が中心になって、EUに留まるか否かの国民投票に関連した法案が5月8日の女王のスピーチに含まれていなかったことに遺憾の意を表する動議が提出された。その討議と採決が5月14日か15日に行われる見込みだ。

女王のスピーチでは、キャメロン首相率いる保守党と自民党の連立政権の今後1年間の政策を表明した。キャメロン政権では、親欧州派の自民党が反対するため、EU国民投票関連の動きを進める政策を進めることが難しい。そのため、この動きは、保守党がEU国民投票に前向きだということを強調する一種のデモンストレーションと言える。5月2日の地方選で、英国のEUからの撤退を党の看板にすえるUKIPが大きく躍進したことに対して、保守党が危機感を高めていることがその背景にある。

ただし、この動きがどの程度のインパクトがあるのか疑問だ。世論会社のPopulusが5月8日から10日に2千人余りにどのニュースにもっとも気づいたかという質問を行ったが、女王のスピーチを挙げた人はわずか3%だった(https://twitter.com/PopulusPolls/status/332843047664635904/photo/1)。高級紙では女王のスピーチにかなり大きな紙面が割かれたが、一般の有権者の関心は低い。

労働党の大半と自民党がその動議に反対し、しかも保守党の中にもその動議に反対する議員がでる見込みで、動議が可決される可能性はほとんどないが、たとえ可決されても拘束力はなく、何も変わらない。そのため、この動きは自己満足的なものにしか過ぎないように思える。

英国がEUから離脱すればどうなるか?

保守党の重鎮の元財相のナイジェル・ローソンが、キャメロン首相がEUとの関係を改めるための交渉をしてもあまり意味がない、英国はEUから撤退すべきだ、と主張し、保守党関係者に大きな衝撃を与えた。保守党のラモント元財相やジョンソン・ロンドン市長らは、まずは交渉をしてみて、それで成果が上がらないようなら英国はEUから撤退すべきだと考えている。いずれも、基本的に、英国がEUから離脱しても大丈夫だという考え方に立っている。

英国がEUから脱退すればどうなるかについては、決定的な分析はない。そのプラス・マイナスについては、わからないというのが結論である(参照:http://www.bbc.co.uk/news/business-22442865)。

英国がEUに加盟していることで支払っているのは、2012年に150億ポンド余りであり、そのうち、英国に返ってくるものを除くと約70億ポンド(約1兆円)である。英国はドイツの次に実質拠出額の多い国であり、GDPの約0.5%である。ただし、それがEUを脱退するとなくなるわけではない。例えば、EUのメンバーではないノルウェーは単一市場に入るために、より貧しいEU加盟国に一定額を拠出している。つまり、英国がEUを脱退した後も継続して単一市場に残ろうとすればかなりの費用負担が必要である。

EUの規制が、英国にコスト増などの負担を強いていると見られるが、EUを脱退したとしても、そのまま残す必要があるものはかなり多いと見られている。すぐに廃止できるものはそう多くないようだ(タイムズ紙5月8日 David Charter)。

貿易では、英国はその半分をEUと行っており、輸出よりも輸入のほうがかなり多い輸入超過となっている。しかし、英国への企業投資は、EUのメンバー国であることがプラスに働いているものが自動車産業などかなりある。英国の金融セクターへの影響もある。経済的なプラス面とマイナス面をすべて網羅して適切に判断することは極めて困難だ。また、英国がEUを離れると、その国際舞台での威信や影響力の低下は避けられないと見られ、それを政治的・経済的にどう評価するかもある。

読めないEU脱退の影響

多くの議論で欠けていると思われるのが、EU脱退の短期的な影響である。英国がヒース保守党政権下でEECに加盟した時に、英国経済へのプラス効果がすぐには現れなかった。労働党ではEECの問題について意見が対立し、その結果、次の労働党政権下で国民投票をせざるを得ない状況となった。一方、もし英国がEUを離脱すればそのマイナス効果はすぐに表面化する可能性がある。

EU脱退は、その国民投票の結果が出てからのこととなるが、細部にわたる交渉が必要であり、脱退するのにも時間がかかる。つまり、中途半端な状態が続くこととなる。また、国民投票の結果が出れば、その時点から企業は新しい状況に対して動き始める。その結果、投資の中止、引き揚げなどの動きの影響がすぐに出てくる可能性がある。

さらに、その時点での景気の動向もあるだろう。景気の上昇局面と下降局面では、その影響が異なる可能性がある。

しかも、EU脱退のマイナスの影響の出てくる時期が選挙に近いと、時の政権にとっては、有権者からの反応が心配となるだろう。問題は、このような時期や状況がどれくらい続くかをあらかじめ予測することは極めて難しいように思われることだ。

結局、英国には、EUから脱退しても大丈夫だという威勢のよい見解はあるものの、離脱の影響が十分読めないために、よほど大きな政治・経済的環境の変化がなければ、英国のEU脱退は政治的に非常に大きなリスクがあるように思える。

2015総選挙予測(Projected Next General Election Results)

5月2日に行われた地方選挙の結果を踏まえ、もし2015年に予定されている総選挙でこの選挙結果が繰り返されるとどうなるか?その予測は以下のとおりである(サンデータイムズ紙5月5日)。

保守党:243議席(64議席減)
労働党:331議席(72議席増)
自民党:50議席(7議席減)
UKIP:0議席
その他の政党:26議席(2議席減)

下院の議席数は650であり、労働党が331議席獲得すれば他の政党の議席の合計は319議席となる。労働党は他の政党の合計を12議席上回ることとなり、マジョリティは12である。

この予測は選挙専門家のプリマス大学のレイリングズ教授とスラッシャー教授(以下R/T教授)の分析による。英国の地方議員選挙では、地方自治体の中の小さく区分けされた選挙区、Wardごとに議員が選ばれるが、この2人の教授はその分析を1979年以来行っており、それを総選挙にも当てはめ、その予測には定評がある。この2人の評判は、以下を参照:http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2013/may/01/in-praise-rallings-thrasher
http://ukpollingreport.co.uk/guide/comparisons/
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2013/may/02/local-elections-results-british-political

さて、今回の地方選挙は、イングランドの34地方自治体とウェールズの1自治体で行われたが、BBCがこの選挙結果をもとに地方選挙が英国全体で行われたと仮定して出した各政党の得票率は、R/T教授のものと似通っている。しかし、BBCは2015年選挙の予測はしていない。

BBC R/T教授
労働党 29% 29%
保守党 25% 26%
自民党 14% 13%
UKIP 23% 22%

これらの結果から見た、各政党ごとの次期総選挙に向けての現状は以下のようなものとなる。

UKIP

UKIPの支持は高いが、R/T教授は、2015年の下院選挙では0議席と予測する。下院は完全小選挙区制であり、それぞれの選挙区でトップになることは困難なためである。UKIPが下院で議席を獲得するためには、さらに全国的な支持を上げ、また、UKIPへの投票者が多いと予想される重点選挙区での組織的な選挙準備が必要である。

自民党

自民党は、今回の地方選挙でも4分の1の地方議員を失い、2011年、2012年に続き3年連続の大敗を喫した。全国的には支持が低いが、それでも特定の地域で強い。現在下院議員を選出している選挙区にはかなり強い地盤があり、労働党への支持が強くなく、しかも保守党票がUKIPに奪われている状況では、それらの議員の多くが生き延びる可能性がある。

自民党は既に、2015年の総選挙では、現在自民党議員がいる選挙区に全力を投入する戦略を立てており、それ以外には資源を投入しない方針である。5月2日に地方選挙と同時に行われた下院の補欠選挙で、自民党は7位で供託金没収となったが、これはその一環である。

そのため、自民党は、現在の政治状況が続くことを希望しており、戦略的観点からも、保守党のキャメロン首相らの望むUKIP対策に同調する可能性は極めて低いといえる。

保守党

保守党は、UKIPの台頭で大きく票を奪われており、その結果、保守党内での亀裂がさらに大きくなってきた。UKIPへの支持率は、来年6月の欧州議会議員選挙でさらに大きく高まることはほぼ確実であり、保守党にとってはこれからさらに厳しい状況となるだろう。景気の急好転など、政権の信用度が大きく高まるようなことがなければ、事態の改善は難しい。

労働党

野党第一党が政権を獲得するには、次期総選挙まで2年の時点でもっと大きな支持率の差が必要という見解があるが、UKIPの台頭で状況が変わってきた。労働党は次期総選挙で第一党となると見られているが、その課題は、単独で過半数が占められるかどうかになってきている。

UKIPの躍進と保守党の苦悩(UKIP’s Big Win and Agonising Tory)

英国独立党(UKIP)が5月2日に行われた地方選挙で大きく躍進した。UKIPは、候補者を立てた選挙区で平均して投票の4分の1を獲得した。UKIPの得票が伸びたために、主要3党はいずれもその影響を受けたが、特に大きな影響を受けたのは、保守党である。そのため、保守党の中にかなり大きな動揺が出てきている。今回の地方選挙は、前回の2009年の不人気なブラウン労働党政権下で、保守党が多くの議席を獲得した後を受けた選挙であるために、保守党がかなり多くの議席を失うことが予測されていた。しかし、労働党の回復とUKIPの躍進のあおりを受けて保守党は多くの議席を失い、10の地方議会の過半数を失った。

なお、これらの自治体には選挙で選ばれた首長はおらず、議会の多数党からリーダーを出し、その下で運営していく形をとっていることから議会の過半数を失うということは極めて大きな意味を持つ。

保守党が心配するのは、UKIPに従来の保守党支持者が大きく食われていることである。タイムズ紙と世論調査大手のYouGovが4月に行った3万人の世論調査によると、2010年の総選挙で保守党に投票した9287人のうち、18%がUKIPに支持を変えている。これは、自民党の8%や労働党の4%と比べてもかなり大きい。

BBCは今回のイングランドの34の自治体の議員を選ぶ地方選挙の結果を踏まえて、もし、この地方選挙が全国的に行われていたならば、各政党がどの程度の得票率だったかを集計したが、その結果は以下のようであった。

労働党:29%
保守党:25%
UKIP:23%
自民党:14%

 

UKIPは、大きな躍進を遂げた。来年6月の欧州議会議員選挙(比例代表制)で、これまでもUKIPは労働党に続いて第2位の得票率を上げるのではないかと見られていたが、この結果から、労働党並みもしくは、労働党を上回る得票をする可能性が出てきている。

英国の下院選挙は、完全小選挙区制であるために、UKIPがそれぞれの選挙区でトップの得票をすることは容易ではなく、2015年の総選挙でUKIPが議席を獲得できる見通しは今でも小さい。

それでも保守党にとって大きな心配は、地方選挙や欧州議会議員選挙でますます大きな注目を集めるUKIPがさらに保守党の票を奪い、保守党の対抗馬、特に労働党が漁夫の利を占めることである。キャメロン首相は、この地方選挙の開票結果を受けて、保守党がUKIPに失った有権者を取り戻すと言ったが、取り戻すどころかさらに失う可能性がある。

もちろんUKIPが2015年総選挙の前にその評判を大きく落とし、その結果、有権者が離れるという可能性はあるが、今のところその可能性は大きくない。今回の地方議会議員選挙でもUKIP候補者に極右の人がいるとマスコミで騒がれたが、その影響はほとんどなかったようだ。

また、ケンブリッジ州のラムジー・タウン・カウンシルの例もある。そこではUKIPが2011年の地方選挙で多数を握った。議席数は17だが、2011年の選挙で一度に争われ、UKIPが9議席を獲得したのである。このカウンシルは英国の地方自治制度で最も下位にあたるパリッシュカウンシルと同じ役割を果たし、その権限は地元のコミュニティに関するものが中心で、大きくはない。タイムズ紙のフィリップ・コリンズによると(2013年5月3日)、この自治体では、いくつかの問題があったようだが、5月3日のBBCの報道番組の中で選挙専門家のジョン・カーティス教授は、この自治体の上位の州自治体選挙で、UKIPはこの地区の67%の得票をしたと発言した。つまり、コリンズの言うようなUKIP自治体の「失政」のためにUKIPは票を失っていない。

これまでUKIPはキャメロンも攻撃してきたように「隠れた人種差別主義者」という見方があった。もちろんUKIPは移民問題に非常に強い意見を持っており、それがUKIPに票をもたらした大きな原因だが、今回の地方選挙で、その「人種差別主義者」イメージが大きく薄れて、より「普通の政党」のイメージを持ってきているために、UKIPに投票しやすくなっているようだ。それは女性の支持が増えていることでも伺われる。

この状態では、保守党の立場は厳しい。UKIPの躍進の原因は、大きく分けて二つある。一つは、既成政党への批判である。既成政党が自分たちの側に立っておらず、自分たちの意見を代弁してくれていないという批判がある。次に、これまで2大政党への批判票の受け皿であった自民党が保守党と連立政権を組んで政権に入ったことから、自民党がその批判票を受けられなくなったことである。

もちろん党首のナイジェル・ファラージュの影響は非常に大きい。人々が共感しやすいわかりやすい発言をしている。例えば、UKIPは、保守党(既成の大ビジネスや金持ちの味方)、労働党(労働組合の味方)など既成の利権を擁護する勢力とは異なり、小さなビジネスマンなどこつこつ努力する普通の人たちの味方だというイメージを与えている。

UKIPへ投票する人は、保守党へ投票する人たちと比べて、収入の少ない人が多く、現在の緊縮時代の影響をより肌身に感じている人が多い。また、カーティス教授によると、UKIPは比較的、教育程度の高くない人の多い地域や宗教的なアイデンティティの強い地域、そして老人の多い地域で票を伸ばしている。こういう人たちが、欧州などからの移民で仕事を奪われることに脅威を感じたり、自分たちのこれまでの価値観が揺らぐことに危機感を感じている。

なお、保守党はミドルクラスの政党というイメージがあるが、保守党はいわゆる「労働者階級」からの支持をかなり多く受けている。これらの人々の支持がなければ、保守党は政権を獲得できない。

この状況を受けて、保守党の行うことは、2つあるといわれる。1つは、UKIPの大きな看板である英国のEUからの独立という主張を弱めるために、キャメロン首相がさらにEUから脱退するかどうかの国民投票をするという立場を強めることだ。さらに、保守党支持者のUKIPへの支持換えを防ぎ、支持を変えた人を取り戻すために、これらの人たちにアピールする政策を打ち出すことである。

最初の方策は、保守党の右から大きな支持があるようだが、この効果は少ないと思われる。すでにキャメロンは、次回総選挙で政権にとどまれば、2017年末までに国民投票をすると約束している。しかし、この約束の効果は全くなかったようだ。UKIP党首のファラージュは、保守党が次の総選挙後、政権に残るという可能性自体に疑問を呈している。

また、保守党が現政権をともに組む自民党がそのような国民投票を現政権下で認める可能性は全くないことから、次の選挙後のことを言ってもその効果が大きいとは思えない。現政権下で次期総選挙後の国民投票を法制化しておくという案もあるが、そのようなことを自民党が認めるということ自体大きな疑問がある。しかも、UKIPの支持者には、英国のEUからの独立にそう大きな関心を持っていない人も多い。

UKIPの支持者にアピールする政策は、その関心がかなり多岐にわたっていることから絞ることがそう簡単ではない。もちろん移民問題は大きな問題であるが、すでに打つ手は打ってきている。小手先の政策で方向が大きく変えられるとは思われない。今回の地方選挙でのUKIPの躍進の中で感じられることは、現在の経済停滞、そして財政緊縮の中で、多くの人々が、かなり大きな不満を持っていることだ。UKIPがその不満の受け皿になっている面がある。経済が上向きにならなければ、この問題を解決するのは困難だ。

さらに、現在の英国政治にスターが乏しいことだ。キャメロンもミリバンドもクレッグもそのようなスター性に乏しく、しかも「確信」に乏しい。この中では、おそらくクレッグが最も確信を強く持っているといえるだろうが、現在の政治状況下では、有権者から支持を得ていない。キャメロンはミリバンドと比べると、有権者から首相としての支持は強いが、キャメロンに強い個性、信念を持ったリーダーというイメージはない。

それから考えると、ファラージュに対抗できる人物としてロンドン市長のボリス・ジョンソンの国政への登場という可能性も否定できない状況となっているといえる。