スコットランドのスタージョン政権の「重荷」

2014年9月に行われたスコットランド独立住民投票で、スコットランドの住民は、55%対45%の割合で独立に反対した。それから1年半たった。当時のスコットランド政府首席大臣のアレックス・サモンドの予定では、独立賛成が多数の場合、スコットランドは2016年3月に独立国となるはずだった。

時間のたつ速さに驚く。6月23日の国民投票でイギリスがもし欧州連合(EU)を離脱することとなれば、2年の移行期間はすぐにたつ。恐らく2年では必要な交渉をまとめるのは極めて難しいだろう。

さて、スコットランドは、この1年半で、経済環境が大きく変わった。住民投票前にサモンド首席大臣は、北海油田からの歳入に財政のかなりを依存できると強調していた。2015年度には75億ポンド(1兆2千億円:£1=160円)の歳入があると見ていた。ところが、世界的な石油のだぶつきで価格が大きく低下し、2015年11月の財政責任局(OBR)の推定では、1億3千万ポンド(200億円)と激減し、実際には3500万ポンド(56億円)であった。

独立国スコットランドの財政状況は極めて厳しいものとなっていただろうという。IFSの分析では、イギリス全体の財政赤字が2.9%と推定されていたのに対し、スコットランドでは、9.4%であっただろうとする。

スコットランドは、少なくとも現在の時点では、独立しなくて幸運であったといえる。

スコットランドの主な政党の第2回目のスコットランド独立投票に対する立場が5月5日に行われるスコットランド議会選挙への選挙マニフェストで明示されているが、労働党、保守党、自民党が反対の立場であるのに対し、政権を担当するスコットランド国民党(SNP)は、大多数のスコットランド住民が独立を求める、もしくは、状況が大きく変化したような場合、例えば、スコットランドの住民がEU残留を求めるのに、イギリスがEU離脱としたような場合に実施するとする。

世論調査によると、2015年5月の総選挙でスコットランドに割り当てられた59議席のうち56議席を獲得したSNPは依然断トツでリードしており、5月5日の選挙で過半数を占め、2007年以来担当している政権をさらに継続するのは間違いない状況だ。

ただし、スコットランドの住民が独立賛成に傾いているかというとそうではなようだ。独立すべきだという割合は、スコットランドの社会動態調査によると、2015年には39%とこれまでで最も高い。しかし、2014年の独立住民投票からの住民の意識の変化を調査した報告によると、イギリス人(British)と感じず、絶対にスコットランド人(Scottish)と感じる人が23%から26%へと微増したものの、スコットランド人・イギリス人と同じように感じる人が32%から36%へと増加、スコットランド人よりもイギリス人と感じる人が5%から6%へ、そしてスコットランド人ではなく、イギリス人と感じる人が6%から8%へと増えている。

この報告では、SNPに支持が集まっている理由は、SNPの経済財政をはじめとする政権運営や、トップ政治家のアピールなどが、スコットランド人としてのアイデンティティの意識より大きいとする。

二コラ・スタージョン首席大臣は、これらの状況の中で、まず、SNP内部の独立熱が行き過ぎないようにしていく必要があろう。既に、今年の夏から独立へのさらなるキャンペーンを実施するとしているが、SNP活動家の時期尚早な独立住民投票を求める声を抑えていく必要があるように思われる。スタージョンは、2回目の住民投票は、スコットランド住民の独立する意思が明確な場合に行うとの態度を明らかにしているが、そのカギとなる政権運営能力を継続して示すことはそう簡単ではないように思われる。スコットランドを取り巻く経済環境は、厳しい。

スコットランドの2015年末までの経済成長率は、その前年と比べて0.9%とイギリス全体の2.1%を大きく下回った。2015年第4四半期の経済成長は、0.2%だった。イギリス全体の0.6%を大きく下回る。

2014年の独立住民投票の際、キャメロン首相や主要政党党首が、スコットランドにさらなる分権を約束した。その結果、スコットランドは、所得税などに対する権限が委譲された。2016年スコットランド法が2016年3月制定されたが、その交渉で最ももめたのが、大きな財政自主権を持つこととなるスコットランドの歳入をいかに守るかという点であった。結局、財政フレームワーク合意で、人口増加率の低いスコットランドへの地方交付金を人口一人当たりの額で保証することとなり、少なくとも5年間は歳入がイギリス全体と比べて大きくマイナスとなるということはなくなった。

それでも、SNPが有権者の信頼を継続して得ていくには、スタージョンが、SNPの独立熱を抑えながら、政権運営で優れた手腕を発揮しているという印象を継続して与えていく必要がある。スタージョンへのプレッシャーは大きい。

2度目のスコットランド独立住民投票の可能性

2014年9月18日、スコットランドで、独立するかどうかの住民投票が行われた。独立賛成45%、反対55%で、反対多数の結果だった。しかし、この住民投票の運動で、支持基盤を拡大した、独立賛成のスコットランド国民党(SNP: Scotland National Party)は、2015年5月の総選挙でスコットランドを席巻し、下院の全650議席のうち、スコットランドに割り当てられた59議席中56議席を獲得。その勢いを背景に、独立住民投票を再び、なるべく早く行うべきだという意見が、党所属下院議員、SNP支持者らに強い。

住民投票1周年を迎え、いくつかの世論調査が発表されているが、独立賛成が47%から49%、反対が51%から53%である。もしさらなる住民投票があったとしても、独立賛成が上回るとは限らない。果たして2回目の住民投票が行われるだろうか?

2014年独立住民投票の経緯

2014年の住民投票は、スコットランド分権政府を担当するSNPの強い主張で実施されることとなった。SNPはもとともスコットランドのイギリス(UK)からの独立を謳ってきていたが、実は、この独立住民投票がこのように早く行えるとは考えていなかった。

スコットランドの分権議会は、ブレア労働党政権下、住民投票を経て、1999年に設けられた(1979年にも分権の住民投票が行われ、分権賛成が多数を占めたものの、投票率が低く、定められた基準をクリアーできなかった)。

当時、スコットランドでは労働党が圧倒的な強さを誇っていたが、ブレア政権は、弱小勢力であったSNPを警戒して、いずれの政党もスコットランド議会で過半数を占めることが極めて難しい投票制度を設けた。これは、小選挙区比例代表併用制と呼ばれる。日本の衆議院の小選挙区比例代表並立制では、小選挙区と比例代表で、議席が、それぞれ別々に計算されるが、スコットランドでは、比例代表の得票率で小選挙区の結果を含めて議席数が決まる。つまり、8つに分かれた地区内の小選挙区でほとんどの議席を獲得しても、比例の得票次第で、それ以上の議席を比例で獲得できなくなる仕組みである。

SNPは、2007年の議会選で最多議席を占め、政権に就いたが、その際の議席は全129議席のうち47議席で、過半数からはかなり遠く離れていた。1999年、2003年と、労働党と自由民主党の連立政権が続いてきたが、2007年には、労働党は46議席と振るわなかった。政党同士の連立交渉がまとまらず、結局、SNPが少数政権として、スコットランド分権政府を運営するという形となったのである。

多くは、この少数政権は長続きしないと見たが、SNP党首のサモンド首席大臣は、政権を巧みに運営し、政策ごとに労働党、保守党、自民党と連携して法案を通し、4年間の任期を全うした。この政権で、サモンドは、スコットランド独立住民投票案を出したが、他の主要政党は賛成せず、SNPも無理に通そうとはしなかった。

2011年のスコットランド議会選のマニフェストでも、SNPは独立住民投票の実施をうたっていた。しかし、選挙前、SNPを含めて、だれもSNPが議会の過半数を占めるとは考えていなかった。過半数を獲得し、SNPは住民投票を実施せざるをえなくなった。そしてロンドンのキャメロン政権との交渉が始まる。

この頃の世論調査では、独立賛成派は少なく、とても勝ち目はないと思われた。独立賛成の可能性はないと判断したキャメロン首相は、独立住民投票に応じることとなる。

ところが、住民投票の日が近づき、独立支持が急伸し、それに慌てた保守党、労働党、自由民主党が、独立反対の結果の場合には、スコットランドへのさらに大幅な権限移譲をすると約束した。また、住民投票後、独立することになった場合に備えて、大手企業が準備を進めており、スコットランドから多くのビジネスが離れるのではないか、などという報道がなされた。

結局、住民投票で、特に55歳以上の人たちが独立に反対したが、これは、スコットランド独立後の財政状況、特に、年金を心配したのではないかと言われる。イギリスでは、オズボーン財相の下、年金はトリプルロックと、言われ、インフレ率、平均賃金上昇率、もしくは2.5%の3つの基準のうち、最も高い数字に従って、毎年、上昇することとなっている。すなわち、年金は毎年、少なくとも2.5%はアップしていくのである。

しかし、スコットランドの人口は、イギリス全体の8%で、イギリスほど財政力が強くない。エコノミスト誌が、スコットランドを「スキントランド(お金のない国)と表現したことがあるが、サモンド首席大臣(当時)の頼みの綱ともいえる北海油田からの収入に疑問があり、スコットランドの継続的な財政力に不安があった。この北海油田からの収入は、最近の石油価格の崩壊で、さらに見通しが暗くなっている。独立すれば、スコットランドは財政的に悪くなると見ているスコットランド人が多い

スコットランドの魅力

かつてスコットランドに5年余り住んでいたことがある。スコットランドには魅力がある。過去3年間、毎年1週間ほど、スコットランドにウォーキングに行っているが、その都度、スコットランドの魅力を実感する。スコットランドの、特に北部のハイランドには、アメリカ人やイングランド人の旅行者が多く、住んでいるイングランド人も多い。

スコットランドの自然は素晴らしい。天候は次々に変わり、天気予報はそう信頼できないが、それでも時に空一杯に広がった青空の下、靄のかかった、少し湿った遊歩道を歩く爽快感には素晴らしいものがある。この自然だけでもスコットランド人の誇りを高める効果があるのではないかと思われる。

日本人にはスコットランドはイギリスの首都ロンドンから遠く北に離れた田舎のような印象があるかもしれない。しかし、スコットランドには、かつて北からバイキングが攻めてきた歴史があり、しかも東のフランスと組んでイングランドと戦ったこともある。

18世紀初めに、スコットランド議会とイングランド議会が統合され、スコットランド議会は「停止」されたが、この統合前には、いずれの側も統合を嫌った。それぞれ違う「国」であり、文化的にも異なるので、うまくいかないと思ったのである。もちろんイングランドとスコットランドの間の戦闘も多かった。1318年のバノックバーンの戦いは、2014年の住民投票の際にもスコットランドの愛国心を高めるのに使われた。

このような愛国心は特に若い世代に浸透しており、独立住民投票でもその傾向は、はっきりと出ている。しかし、先述したように、スコットランドには、独自の魅力があるものの、財政的に不安がある。

2014年の独立住民投票から1年を迎えた、9月18日、BBCラジオのニュース番組で、ある専門家が、老いた世代から若い世代に入れ替わっていくと、独立機運は益々強くなると解説したが、この分析には、スコットランドがイギリス内で有利な財源配分を受けており、年金など人々の生活の基本となる条件を十分に検討していない分析だと感じられた。

2度目の住民投票の可能性?

住民投票が近い将来、再び行われるかどうかは、多くの要因に影響されるだろう。世界経済が、中国、欧州などの減速で揺れる中、スコットランドの将来はかなり不透明だと言える。「寄らば大樹の陰」という発想がスコットランドの多くの住民にあっても何ら不思議ではない。スコットランド住民が、次の独立住民投票では、より冷静な目で将来の可能性を見るように思える。

スコットランドのはっきりとした将来計画がない場合、スコットランド独立投票の実施は、SNP政権を弱める可能性がある。もし、2014年の賛成45%対反対55%の差が、さらに広がるような結果となれば、住民投票を実施する政治判断そのものが問われることとなり、SNP政権はこれまで築いてきた信用を大きく失う可能性がある。

SNPの現党首、スタージョン首席大臣は次期住民投票をどうするか慎重になっているが、いずれにしても2016年5月にはスコットランド議会選挙がある。世論調査では、これまでSNPの優位が伝えられている。一方、労働党のコービン党首の選出で、スコットランドの労働党が回復する可能性も否定できない。また、キャメロン首相が2017年末までに実施すると約束している、EUに残るかどうかの国民投票もある。もし、イギリスがEU脱退に賛成すれば、EU残留を望むスコットランドが独立住民投票に臨む可能性が強い。いずれにしても、政治は常に変化している。すべてのパラメーターが変化する中、独立住民投票をどうするかの判断は、スタージョン首席大臣の真価が問われる問題である。

スコットランドの政治状況

2016年5月5日木曜日に行われるスコットランド議会議員選挙まで、あと9か月となった。この選挙は、通常4年毎に行われることになっている。前回は5年前の2011年に行われたが、2010年の総選挙後発足したキャメロン連立政権が、政権の安定を求め、5年の任期固定議会とすることとしたため(2011年議会任期固定法)、2015年5月にはイギリス全体の下院の選挙とスコットランドらの議会議員選挙が重なることとなった。異なった選挙制度(下記参照)の選挙を同じ日に実施するのは、不適当という判断から、スコットランドらの議会議員選挙が2016年に行われることとなったのである。

さて、来年のスコットランド議会議員選挙では、有権者の年齢が18歳以上から16歳以上に下げられる。2014年9月に行われたスコットランド独立住民投票(独立反対が賛成を上回った)で、独立賛成派の、スコットランド分権政権を担当するスコットランド国民党(SNP)が、有権者の年齢の引き下げを強く主張し、キャメロンが、それを認めた。年齢の引き下げは成功したと見られ、スコットランド議会が、超党派で有権者の年齢を下げることとなったのである。

この選挙では、SNPが、下記の世論調査で示されているように、その勢力を増大する勢いである。SNPは、650議席の争われた5月の総選挙で、スコットランドの59の下院議席のうち、56議席を獲得した

世論調査

SNP 労働党 保守党 自民党 緑の党
Survation世論調査(7月3日~7日) 選挙区 56 20 14 7 候補者なし
地区比例 45 19 12 8 11
TNS世論調査(6月19日~7月8日) 選挙区 60 20 14 5 候補者なし
地区比例 51 21 13 5 7
TNS世論調査(5月13日~31日) 選挙区 60 19 15 3 候補者なし
地区比例 50 19 14 5 10
2011年選挙実績 選挙区 45 32 14 8 候補者なし
地区比例 44 26 12 5 4

なお、緑の党は、選挙区では候補者を立てず、比例のみで争う。前回の2011年には2議席を比例で獲得した(下記獲得議席数参照)が、次回はその議席を伸ばす勢いである。保守党と自民党は前回とあまり変わらないが、総選挙で、前回の41議席からわずか1議席と惨敗した労働党は、スコットランド議会でも議席をかなり失う情勢である。

以上の世論調査の出所は以下のとおり。
TNS世論調査(5月13日~31日)
TNS世論調査(6月19日~31日)
Survation世論調査(7月3日~7日)

2011年スコットランド議会選挙結果(獲得議席数)

SNP 労働党 保守党 自民党 緑の党 無所属
選挙区 53 15 3 2 0 1
地区比例 16 22 12 3 2 0
合計 69 37 15 5 2 1

SNPは、2007年に最多議席を獲得し、少数政権についたが、2011年には、全129議席の過半数を獲得した。上記世論調査では、SNPが再び過半数を獲得する勢いである。

スコットランド議会の選挙制度

イギリスの総選挙、すなわち下院議員選挙は、完全小選挙区制で、それぞれの選挙区で最多の得票をした1人だけが当選する。SNPはスコットランドでの得票率50%で、59議席中56議席を獲得した。

一方、スコットランド議会議員選挙は、小選挙区比例代表併用制である。日本の衆議院選挙の小選挙区比例代表並立制が、小選挙区と比例区で別々に当選者が決まるのに対し、スコットランドの制度は、8つの地区ごとの比例代表に投じられた政党の票の割合によって、基本的に議員数が決まる。つまり、小選挙区で多くの議席を獲得すれば、地区ごとの比例代表で当選する人の数は制限される。この制度は、一つの政党が過半数を占めることを極めて困難にした制度である。

益々強くなっているSNP

先月の総選挙でスコットランドを席巻したスコットランド国民党(SNP)が、さらに支持を増やす勢いだ。

SNPは、5月7日に行われた総選挙で、スコットランドの59議席中、56議席を獲得した。その前の2010年総選挙では、わずか6議席であったことを考えると、非常に大きな飛躍である。イギリスの総選挙、すなわち下院議員選挙は、完全小選挙区制であるため、それぞれの選挙区で最多の得票をした一人だけが当選する。そのため、SNPはスコットランドでの得票率50%で、これだけの議席を獲得した。

一方、スコットランドでは、来年のスコットランド議会議員選挙に視点が移っている。この選挙は、小選挙区比例代表併用制で行われる。日本の衆議院選挙の小選挙区比例代表並立制が、小選挙区と比例区とで別々に支持率によって当選者が決まるのに対し、スコットランドの制度は、8つに分けられた地区の比例代表に投じられた政党ごとの票の割合によって、小選挙区を含めて、議員数が決まる。つまり、小選挙区で多くの議席を獲得しても、地区ごとの比例代表で当選する人の数は制限される。この制度は、一つの政党が過半数を占めることを極めて困難にした制度である。

さて、マーケティング・リサーチ会社TNSは、世論調査の一環で、有権者の政党支持も調査しているが、来年5月5日に行われるスコットランド議会議員選挙への支持動向の世論調査(5月13日から31日実施)の結果を発表した。それによると、各党の支持率は、以下のとおりである。

スコットランド議会議員選挙の各党支持率(%)

 

 

SNP

労働党

保守党

自民党

緑の党

2015年5月世論調査

選挙区

60

19

15

3

候補者なし

地区比例

50

19

14

5

10

2011年選挙実績

選挙区

45

32

14

8

候補者なし

地区比例

44

26

12

5

4

SNPが選挙区、地区比例ともに支持率をかなり伸ばしている。なお、2011年議会選挙の結果は以下のとおりだった。

2011年スコットランド議会選挙結果(獲得議席数)

 

SNP

労働党

保守党

自民党

緑の党

無所属

選挙区

53

15

3

2

候補者なし

1

地区比例

16

22

12

3

2

0

合計

69

37

15

5

2

1

2011年には、どの党も過半数を取りにくい制度でありながら、SNPが全129議席の過半数を獲得した。そして、2014年9月、その際のマニフェストで約束した独立住民投票を実施した。

上記のTNS世論調査では、SNPが選挙区で15ポイント、比例で6ポイント伸ばしており、SNPはさらにかなり議席を伸ばす勢いだ。もちろんこの世論調査は、総選挙でSNPが大勝利を収めた後、すぐに行われたもので、1年後のスコットランド議会選挙まで続くとは必ずしも言えない。しかし、今のところ、SNPがさらに議席を伸ばし、再び過半数を獲得する勢いである。

一方、労働党の凋落ぶりが明らかであり、また、スコットランド独立住民投票で、独立に賛成した緑の党の支持が伸びている。緑の党は議席を伸ばす勢いだ。

スコットランドの情勢

スコットランドでは、下院の全650議席のうち、59議席割り当てられている。2010年総選挙では、労働党41議席、自由民主党11議席、スコットランド国民党SNP6議席、保守党1議席だったが、現在の世論調査の状況では、支持率がSNP54%(2010年総選挙では20%の得票)、労働党が20%(2010年42%)で、その差は、縮まるどころか逆に拡大する傾向だ。5%(2010年19%)の自民党が獲得できそうなのは1議席だけ、17%(2010年17%)の保守党は現有の1議席を失い、これまでの総選挙で圧倒的な強みを見せていた労働党は、ほとんど一掃される勢いである。

この背後にあるのは、SNP党首ニコラ・スタージョンへの評価が極めて高いのに対し、労働党のミリバンド党首への評価が極めて低いことである。Ipsos Moriの行った党首評価によると、スタージョンの評価(プラス評価からマイナス評価を差し引いたもの)は+48であるのに対し、ミリバンドは-31である。ミリバンドの場合、同社が全国的に行った世論調査では、-19であり、スコットランドでの評価は、それよりはるかに劣ることになる。

このSNPの勢いに対して、保守党や自由民主党の支持者が、SNPがスコットランドで力が強くなりすぎ、2回目の独立住民投票を近い将来実施するのを警戒して、労働党に投票する可能性が指摘されていた。これは、タクティカル・ボーティング(戦術的投票)と呼ばれ、有権者が自分の支持する政党には投票せず、当選してほしくない政党以外の、最も当選可能性の高い政党に投票するものである。しかし、これは、それほど大きなものではないことがわかった。保守党、自由民主党の支持者の3分の1ほどがタクティカル・ボーティングで労働党に投票する考えがあるが、同時に、保守党、自由民主党の支持者の10分の1ほどは、自分の選挙区のSNPの候補者が勝ちそうなら、SNPに投票するつもりだという。すなわち、労働党にタクティカル・ボーティングで投票しそうな保守党、自由民主党支持者は、5人に1人ほどしかいないこととなる。これほどの支持では、圧倒的な支持の強さを誇るSNPの勢いの前では、数議席の差はでても、大勢には影響はないと見られる。

つまり、労働党がスコットランドで大敗北するのは間違いない状態であり、このため、労働党が全国的に最多議席を獲得する可能性は大きく減少した。

保守党の「SNPに支えられた労働党」警告

5月7日の総選挙の結果が、いずれの政党も過半数を占めることのないハングパーリメント(宙づりの国会)となると見られている中、30から50議席を獲得し、下院で、保守党と労働党に次ぐ勢力を持つこととなると予測されているスコットランド国民党(SNP)の動向が注目されている。

SNPは、労働党との連立政権は否定しながらも、保守党政権を阻むために、労働党に支持協力する意向を繰り返している。つまり、SNPが過半数を確保できない労働党政権を支えれば、保守党政権は生まれないが、その代わりに、SNPは強い立場となり、労働党政権の政策に影響を与えると言うのである。

これに対し、保守党は、イギリスからスコットランドを分離独立させようとするSNPに支えられた労働党政権は危険だ、SNPに牛耳られるとして、キャメロン首相、それにメージャー元首相も、強く警告している。保守党ならばSNPに牛耳られないと言うのである。

これには、2つの狙いがあるようだ。まだ態度を決めていない有権者、特にイングランドの有権者と、UKIP支持者の反スコットランド感情を高めさせ、その結果、保守党に投票させようという作戦である。一方、スコットランドでは、SNPの中央政権での影響力に期待する有権者と、イングランドでの反スコットランド感情に憤ったスコットランド有権者からSNPにさらに支持が集まり、労働党がさらに議席を失うという具合である。

前者に関しては、YouGovの世論調査によると、労働党とSNPが何らかの提携をしそうだが、これは悪いことで、保守党政権の方がよいと考えているが、まだ保守党に投票するとは決めていない人が有権者の8%いるという。つまり、保守党の選挙戦略上の狙いはよいと言えるだろう。

しかし、保守党の中にもこの作戦は、スコットランド住民とイングランド住民の溝を広げ、危険だと指摘する声もある。

ただし、この保守党の作戦には、一つ欠陥があるように思える。例え、保守党がイングランドで、若干の議席を増やしたとしても、スコットランドでは、党派を超えて、スコットランドの反独立派の人たちが、SNPの候補者を破る可能性のある候補者に、こぞって投票する可能性を高めるように思える。

さて、前回の2010年のスコットランドでの総選挙結果は以下のとおりであった。スコットランドの議席59議席のうち、2010年の総選挙では、労働党が41議席を獲得し、SNPは6議席であった。しかし、今回は、数多くの世論調査によると様相が一変している。

スコットランドのストラスクライド大学のジョン・カーティス教授は、大手の世論調査会社がすべて参加しているイギリス世論調査協議会の会長も務める、世論調査の専門家だが、4月20日現在の世論調査の平均は以下のとおりだとする。なお、まだどの党に投票するか決めていない有権者は除かれている。

2010年得票率(%)

世論調査2015年4月20日現在(%)

2010年議席数

現在の世論調査による2015年議席予想

SNP

20

49

6

54

労働党

42

26

41

4

自由民主党

19

4

11

1

保守党

17

15

1

0

SNP以外の政党の支持者は、SNPに対抗して、議席を獲得する可能性のある他の政党に投票する可能性が高い。これは、タクティカル・ボーティング(戦術的に投票すること)と呼ばれ、最近の世論調査でも裏付けられている。それは、そう簡単にはいかないとカーティス教授は言う。ただ、かなりタクティカル・ボーティングが行われても、労働党が大幅に議席を減らすことは間違いない。

保守党は、過半数が取れなくとも、最大議席を獲得することを目指している。最も有権者の支持を集めた政党として、正当性が高まり、政権交渉を最初にする権利が生まれると考えているためだ。自民党は、この最大議席の政党の問題に敏感だ。自民党は、ハングパーリメントとなった場合、最大政党がまず、政権設立の試みをした上で、もしまとまらなければ、第2位の政党に機会が与えられるべきだと考えている。自民党としては、連立政権参加、もしくは、閣外協力をする場合には、最大政党と連携する方が正当性の観点からは都合がよい。

そのため、保守党が最大政党となれば、話し合いを有利に進めることができる。そのため、労働党がスコットランドで議席を減らせば減らすほど保守党には都合がよい。それがキャメロン首相、メージャー元首相の行動の裏にある。

SNPの前党首が、労働党政権となれば、自分が予算を書くと冗談を言ったと報道され、その結果、既にSNPとの連立を否定している労働党のミリバンド党首は、SNPとの協定はないと言明した。しかし、保守党の「SNPに支えられた労働党」への攻撃はまだ続く。勢いづいている労働党に対抗するには、これはほとんど最後の手段とも言えるからだ。総選挙の結果にどのような影響を与えるか注目される。

自信を見せ始めたミリバンド

4月16日に行われた、野党5党のBBCテレビ討論で、ミリバンド労働党党首が、自信をにじませた討論ぶりを見せた。このテレビ討論では、連立政権の保守党、自民党が参加せず、野党の労働党、ウェールズのプライド・カムリ、緑の党、スコットランド国民党(SNP)それにイギリス独立党(UKIP)の5党の党首が参加した。

ミリバンドは、これまでの「テレビ討論」とは異なり、最初からリラックスしていた。保守党のキャメロンが出席していなかったので、リラックスしていたという見方があるかもしれないが、労働党関係者の中には、この討論に出席するミリバンドを愚かだと批判する人もかなりいた。他の野党から、主要政党の一角である労働党に攻撃の矛先が向かい、ミリバンドが苦戦するのは明らかだと主張していたのである。特に、SNPの二コラ・スタージョンは強敵だと警戒していた。

実際、スタージョンの討論ぶりは、その的確で、十分に練られた内容ばかりではなく、話しぶりが明確で、しかもタイミングがよく、聴衆から最も多くの拍手を受けていた。労働党の政策を批判しながらも、SNPは保守党が政権に就くことを阻むために、労働党に協力するとの立場を明確にし、もし労働党がSNPの申し出を受け、進歩的な政策を進める機会をつかみ取らなければ、人々はミリバンドを許さないだろうと主張した。

もちろん、この主張の背景には、スコットランドの事情がある。スコットランドの有権者は、これまで、ウェストミンスターの下院の選挙では、政権を獲得する可能性のある労働党を支持していた。SNPは、スコットランドの利益を代弁するのは我が党であり、SNPは労働党を支持するので、SNPに投票すれば、労働党を政権につけさせることができるばかりではなく、スコットランドの利益も代弁できるとする。すなわち、SNPに投票すれば、スコットランド住民にとって一石二鳥で、労働党に投票する必要はないと主張しているのである。

労働党は、スコットランドの59議席のうち、前回の2010年総選挙では41議席を獲得した。SNPは6議席だったが、今回は、SNPが30~50議席を獲得すると予測されている。そのため、議席を失う可能性の高まっている、労働党のスコットランド選出の現職は、この状況に神経質になっており、ミリバンドがSNPの主張を裏付けるような言動をすることを警戒している。

その上、保守党は、ミリバンドがスコットランドをイギリスから分離独立させようとするSNPの助けを借りて、首相官邸に入るつもりだと攻撃し、過半数を獲得できない労働党は、SNPの言いなりになると警告している。

この状況下で、ミリバンドは、労働党が過半数を獲得することが、働く人たちに最も利益となるとし、スコットランドでも労働党への投票を求め、SNPの主張を否定している。既にSNPとの連立は否定し、SNPと距離を置く姿勢を保っているが、SNPの協力を完全には否定していない。どの政党も過半数を獲得できないと見られている状況では、事実上、労働党はSNPの支持がなければ、例え政権を獲得しても維持することは困難だろうからである。

4月16日のテレビ討論では、これらの事情を踏まえた上で、ミリバンドは、SNP対策ばかりではなく、他の野党対策も考えた上で、うまく立ち回る必要があった。テレビ討論前には、ミリバンドは、2日間、選挙運動の日程を最小限にし、この討論の準備にあてたと伝えられるが、その効果は、この討論にはっきりと出ていたように思われる。

ミリバンドは、他の党から、はっきり答えるのが難しい質問が出ると、UKIPのファラージュ党首を攻撃するなど、余裕のある対応ぶりを見せた。明らかに、想定質問を準備し、相当練習していたことが見て取れた。また、この討論での表情の作り方も練習していたように思われる。それでも、時に、これまでの「テレビ討論」で見られたような不用意な表情も見られたが、全般に、首相を目指す人物の顔になってきたような印象があった。なお、ミリバンドの顔は、エネルギーに満ちているように見えたが、かつてサッチャー元首相も使ったビタミン注射をしているように思われた。

このテレビ討論が終わった直後、SNPのスタージョンが、わざわざミリバンドと握手するためにその演台まで行くというシーンもあり、スタージョンの抜け目のなさを改めて印象付けた。

いずれにもしても、430万人が視聴したと言われるテレビ討論では、ミリバンドとスタージョンの二人が目立った結果となり、ミリバンドには、特にマイナスにはならなかったように思われる。

世論調査会社のPopulusによると、いずれの党も過半数を取れないハングパーリアメント(宙づりの国会)の数多くのシナリオを分析した結果、総選挙後、労働党のミリバンド党首が首相となる確率は、10のうち8だという。政治状況は、ミリバンド労働党の方向へ大きくシフトしてきたており、わずか1週間ほど前には、賭け屋が、総選挙後の首相は、1/2の賭け率でキャメロンとしていたが、現在の賭け率は、キャメロンとミリバンドが拮抗している。支持の拡大に苦しんでいるキャメロンと、上り調子のミリバンドという構図となっている。

スコットランド国民党の戦略

スコットランド国民党SNPは、918日の独立住民投票で、スコットランド独立の願いをかなえることができなかったが、それ以降、大きく支持を伸ばしている。独立賛成運動を率いた、スコットランド政府の首席大臣アレック・サモンドは、住民投票の結果が明らかになった後、SNPの党首と首席大臣を退くことを発表した。そしてこのたび、SNP副党首で副首席大臣の二コラ・スタージョンが党大会でSNP党首に就任し、1119日には首席大臣に就任する。 

スタージョンの党首演説で、半年後の総選挙への基本的な考え方が明らかになった。スコットランドはいずれ独立すると考えている。その要点は以下の通りである。

  • 次期総選挙では、どの政党も過半数を占めることのないハング・パーリアメントになる可能性が強い。
  • SNPが新しい政権を決める役割を担う可能性がある。
  • その際、SNPは保守党と手を組むことはないが、労働党とはありうる。
  • 労働党と連携すれば、スコットランドにさらに大きな分権ができ、スコットランドの諸問題に関して有利な交渉ができる。
  • 保守党を政権につけさせないために労働党に投票すべきだという考え方は誤りで、SNPが多くの議席を獲得すればするほどスコットランドが強くなる。

サモンドの党首最後の演説で、次期総選挙のSNPの目標は、下院のスコットランドの59議席の過半数を獲得することと発言した。過半数、すなわち30議席以上は、現在の世論調査から見てかなり控えめに感じられるが、恐らく、スタージョンに過大な期待がかからないように設定したのではないかと思われる。

SNPは左の政党で、前回の2010年総選挙後も労働党との連携を積極的に進めようとしたことがある。SNPは、次期総選挙の結果、保守党と労働党に続く第三党となることを想定しているようだが、その可能性は極めて高い。なお、拙稿「半年後に変わるイギリス政治」イギリス政治のニュースレター2014111日号参照

スコットランド国民党への強まる支持

スコットランド国民党(SNP)は、918日に行われたスコットランド独立住民投票で、独立賛成側の主力であった。住民投票の結果、賛成45%、反対55%でSNPはその目的を達成できなかったが、投票前のキャンペーンでその動員力の強さを見せつけ、党員数が3倍以上になっている。

その結果が、今あらわれてきている。世論調査会社のIpsos-Moriの行った、下院選挙に対するスコットランドの政党支持の世論調査によると、以下のような結果だった。

SNP 52
労働党 23
保守党 10
自民党 6
緑の党 6

来年5月の総選挙で、もしこのような結果が出れば、スコットランド59議席のうちSNP57議席を獲得する可能性があるという。そして前回の総選挙ではスコットランドで41議席を獲得した労働党の総選挙勝利の目は消えるだろう。

スコットランド独立住民投票の思わぬ効果

2014918日に行われたスコットランド独立住民投票の結果、労働党が非常に苦しい立場に置かれている。

住民投票そのものは、独立賛成が45%、反対が55%でスコットランドの住民がはっきりと独立しないと結論を出した。独立に反対したのは、主要3政党の保守党、自民党、そして労働党だが、独立に賛成したのは、スコットランド政府のアレックス・サモンド首席大臣率いるスコットランド国民党(SNP)と小政党の緑の党らだ。SNPはもともとスコットランドをイギリスから独立させるために設立された政党である。

独立は否定されたが、この住民投票が行われた結果、SNPの勢力が大きく拡大した。その党員数が大きく伸び、住民投票前の25千人から10月初めに75千を超え今や8万人を超えた。その結果、現在イギリス政界の第3政党である自民党(Lib Dems)の党員数44千人を抜いて、19万人の労働党、14万人の保守党に続いて第3位となった。イギリスでは、この党員数は名目上の党員ではなく、自腹を切って党費を払っている人たちである。

この党員数の比較を見る場合、留意しておかねばならないのは、労働党や保守党が人口6400万人のイギリス全体に広く分散しているのとは異なり、有権者数428万人(独立住民投票時点で16歳と17歳を含む)のスコットランドに集中しているということである。すなわち、単純に計算すると、スコットランドの住民54人に1人がSNPの自腹を切った党員ということになる。その上、党員の高齢化が指摘される保守党とは異なり、SNPの強力な独立賛成運動から判断すると、新たに加わった党員は青壮年層が中心と思われる。

労働党はスコットランドでこれまで長く、圧倒的な強さを誇ってきていた。2011年のスコットランド議会議員選挙では、一つの政党が過半数を占めないような選挙制度「小選挙区比例代表併用制」にもかかわらず、SNPが過半数を占めた。この選挙で労働党は惨敗を喫したが、その1年前の2010年のイギリス全体の下院総選挙では、労働党がスコットランドの59選挙区のうち41議席を獲得した。労働党はこの総選挙で1997年以来の政権を失ったが、スコットランドではその勢力を維持していた。スコットランドの有権者は、イギリス全体の下院選挙には、下院に大きな勢力を持つ労働党に投票する傾向があった。

ところが、同じ左のSNPへの支持の増加は、この従前の考え方に大きな変化をもたらせている。9月末から10月初めにかけて行われた世論調査の「明日総選挙が行われるとすると、どの政党に投票するか?」という問いに対し、SNPと答えた人が34%おり、労働党の32%を上回った。2010年の総選挙では、SNP6議席に留まったが、20155月に行われる次期総選挙でさらに20議席ほど追加する可能性がある。そのほとんどは労働党から奪う議席だと見られている。

スコットランドは労働党の金城湯池であったが、その地位が脅かされると、労働党の次期総選挙戦略そのものが狂ってくる。

多くは、労働党はこれまで「35%戦略」を持っていると見ていた。この戦略は、労働党が前回2010年の総選挙で獲得した29%の得票に、自民党から流れてくる票を加えて左の票を固めれば、UKIPに票を失う保守党に勝てるというものである。自民党は前回総選挙で23%の得票をしたが、今やその支持率は1ケタになっている。

しかし、労働党が前回総選挙の票を獲得できないようだと労働党の戦略の根本的な見直しが必要となる。スコットランドで起きていることは、労働党への大きな警鐘だ。

スコットランド労働党の党首ジョアン・ラモントがロンドンのウェストミンスターの労働党を批判して辞任した。SNPのサモンド党首らは、ラモントが辞めたのは労働党党首ミリバンドのせいだと、尻馬に乗ってミリバンドを批判したが、これらの批判そのものは、スコットランドにおける労働党をさらに弱めることに狙いがある。

ジョアン・ラモントは、労働党の惨敗した2011年スコットランド議会議員選挙の後、スコットランド労働党の党首となったが、その古い体質を十分改革できないままに終わっており、躍進するSNP(11月、これまでの副党首二コラ・スタージョンが党首・首席大臣となる)に対抗するには役者が不足していたのは明らかである。

なお、SNPのサモンド党首らが労働党のミリバンド攻撃の材料に使っているのは、有権者のミリバンド評価の低さである。ミリバンドにはカリスマがなく、しかもダイナミックさに欠ける。本来なら、サッチャー政権よりも大きな財政削減を行っている政権政党が支持を減らすはずだ。しかも保守党はUKIPに票が流れているにもかかわらず、労働党が決定的な差を保守党につけられないのは、ここに原因がある。

スコットランドだけではなく、全国的に主要政党離れの傾向のある中、UKIPや緑の党への支持が伸びており、労働党はこれらの政党にも票を失う傾向がある。2010年に労働党に投票した人たちが次期総選挙でも労働党に再び投票するかどうか疑われる中、労働党は、これから半年間、足元のおぼつかない選挙戦を進めていくことになろう。